保育士も一人の親
保育園でお世話になる保育士。
多くの子どもたちを預かり世話をしてくれる大変ありがたい存在ですが、保育士自身も一人の親であることは非常に多いです。
保育士という仕事をしている時、その子どもたちを預ける場所もまた保育園や幼稚園、認定こども園などです。
そのような保育士のために、自分の子どもを自分の勤める保育園に入れられるところも増えてきているようですが、それにはメリットとデメリットが存在します。
安心できるメリット
メリットの一つ目は、自身の通勤と子どもの保育園の送り迎えが同じなこと。
通常、忙しい朝に自分の支度と子どもの支度を同時に済ませて、子どもを保育園へ送ってから通勤するのが一般的だと思います。
しかし同じ保育園だと通勤と送り迎えが一緒なので、多少朝の時間に余裕が生まれます。
メリットの二つ目は、すぐ近くにいるので万が一の時に迅速に対応できることです。
小さな子どもは、急に熱を出したり体調が悪くなることがよくあります。
こんな時は通常、保護者に迎えに来てもらいますが、保護者も仕事の関係ですぐに来られないことも珍しくはありません。
しかし同じ保育園内にいると、何かあった時はすぐに連絡が来るので、自分の子どもの対応に遅れることは少ないでしょう。
対応の仕方も分かっているため、迅速に行動することができます。
メリットの三つ目は、信頼のおける保育士に預けられることです。
自分の子どもの世話をしてくれる保育士は、いつも一緒に働く仲間の保育士です。
いつも一緒に仕事をしているので、どんな相手に預けるかはすでに分かっていますし、まったく知らない保育士に預けるよりかは安心感も断然違うようです。
自分の勤める保育園に子どもを入れることは他の保育園に入れるより、すぐに対応できる安心感という面でのメリットが一番大きいようです。
難しいデメリット
一方でデメリットも存在します。
デメリットの一つ目は、他の保育士に気を遣ってしまうということ。
同じ職場の保育士に自分の子どもを預けるわけなので、預ける側預けられる側双方が気を遣ってしまいます。
信頼関係が築けていればいいかもしれませんが、保育士同士で仲がいいとも限りません。
もし、仲の悪い保育士が世話をすることになったとしたら、親として安心して預けられるかといわれると不安の残るところです。
また、まだ経験の浅い新米保育士が預かる場合も、大切な先輩の子どもを預かることを思うと、他の子どもたちより贔屓目になってしまうかもしれません。
預けた子どもが大きなトラブルに見舞われたり、保育士のミスがあったりすると、それは直接自分の仕事に影響することになります。
同じ職場の保育士同士という立場上、他の子どもたちと平等に扱われるかと言われると、それまでの人間関係に左右される面があるでしょう。
デメリットの二つ目は、公私混同してしまいがちになるということ。
保育士も一人の親であることは変わりませんが、保育園に勤めている以上保育士としての責任があります。
同じ保育園にいるため、他の子どもたちの世話をしている間、自分の子どもに会わないとは限りません。
実際に保育園内で自分の親を見つけて、親の気を引くために大声で泣いたり暴れたりすることはあります。
そんな時いくら仕事中だからと言っても、自分の子どもが騒いでいたら気になって仕事に集中できなくなるでしょう。
そしてそれを対処してくれる仲間の保育士にはかなり気を遣うことになります。
他にも、保護者たちとはママ友ではなく、あくまで保育士として接する必要があります。
しかし、この複雑な立場を知って利用しようとしてくる保護者は残念ながら存在します。
ママ友として近づいてきて自分の子どもを優遇させようとする保護者もいますが、それは保育士としてやってはいけないことです。
下手をすれば自分の子どもに飛び火するかもしれないため、どう傷つけないように断るかなど、気を遣うことは多いようです。
自分一人だけでなく子どもにも関わることなので、周りとの円滑なコミュニケーションがとれていないと苦労する部分が出てくるそうです。
気軽に選べる選択肢に
働く保育士の間では、自分の子どもを自分の勤める保育園に預けたくないと思う人のほうが多いようです。
やはり自分一人ではどうしようもできない人間関係の難しさなど、デメリットの方が目立ってしまうのが一つの原因だと思います。
しかし、周りとの関係が良好だと生活の負担も軽くなることは確かです。
保育士として復帰を考える人が気軽に選べる選択肢になるよう、周りのサポートが重要でしょう。