保育園で起きる事故
「保育園の男の子が送迎バスの中で熱中症で倒れている状態で……。」
「保育園内の遊具に首が挟まった状態の男の子が……。」
最近このような悲しいニュースをたびたび見かけるようになりました。
このような事故は絶対に起きてはならないし、許される状況でもありません。
その多くは、ずさんな管理体制や監督不十分などが原因で起こるものです。
では、事故を起こすような保育園は、最初からずさんな保育園だったのでしょうか?
詳しく調べてみると、どうもそうは言いきれない難しい事情が複雑に絡み合っているようです。
主な事故の種類
保育園などで0歳から1歳頃の乳児に起こる事故の場面は主に、食事中や睡眠中によるものです。
ミルクを飲ませて寝かせた後の吐き戻しによる窒息は、乳児の死因の6割以上を占めています。
これを防ぐためには、すぐに寝かしつけない、背中をさすってゲップを促すなどの対応が必要です。
このような睡眠中の事故によく似たものに、乳幼児突然死症候群というものがあります。
これは食べ物を喉に詰まらせた窒息とは違い、何の前触れもなく呼吸が止まり死に至る病気です。
この原因は未だによくわかっていませんが、うつぶせ寝や親の喫煙、母乳以外の栄養による育児などが関係しているのではないかと言われています。
これは事故ではありませんが、乳児の命にかかわることには変わらないため、保育士は5分おきの呼吸確認などが義務付けされています。
2歳から5歳頃の幼児で多くなってくる事故は、遊具からの転落や水遊び中の溺水、友達との衝突や喧嘩による負傷などです。
乳児の時とは違い、死亡事故の割合は減ってきますが、自力で歩けるようになり行動パターンが増えてくると、必然的にこのような負傷などの事故が多くなってきます。
危険を察知する力の乏しいこの時期は同時に、周りにあるものすべてに興味を抱くような時期でもあります。
保育士たちはいつも子どもたちから目を離さずに、行動を監視して危険から遠ざける必要があります。
事故が無くならない原因は?
保育園ではこのような事故が起きないよう、原因は未だによくわかっていませんが、うつぶせ寝や親の喫煙、母乳以外の栄養による育児などが関係しているのではないかと言われていまうです。
しかし、それでも事故が無くなっているわけではありません。
事故が無くならない原因の一つに、明確なマニュアルが定まっていない問題があります。
どれだけ安全のためにマニュアルを用意していても、実際に子どもたちと接することでしか見えてこない危険というものはそこら中に転がっています。
「あの遊具の裏は死角になっている。」「あの子は注意不足でよく転ぶから段差のある所では目を離さない。」
このように、その保育園特有の注意事項や各園児ごとに注意するべきことは、その都度変化していきます。
しかしこのような細かいことも、保育士同士で共有できていなければ意味がありません。
保育士同士のコミュニケーションを円滑にして、どんな小さなことでも危険の種になる情報は共有する必要があります。
次に、そこで働いている保育士たちの“慣れ”も挙げられます。
長い間同じ保育士仲間と働きその間事故などが起きていない場合、慣れによる危機管理の低下が起きてしまいます。
「今まで何もなかったら大丈夫。」
このようなちょっとした不注意から、ある日突然、死亡事故などの大事故につながってしまいます。
そして事故が無くならない大きな原因に、保育士不足の問題があります。
保育士の仕事は子どもの命を預かるとても大変な仕事ですが、そこで働く保育士の収入は長年低水準でとどまっています。
仕事の大変さと収入のバランスがとれていないために、保育士の仕事を続けていける人が少ないのが現状です。
その結果、少人数で複数の園児の対応をしなければならない状態になり、上記二つのような対応をせざるを得ない状況になり、ちょっと目を離した隙に事故に遭っていたということが少なくありません。
保育士の待遇を良くして一人一人の負担を減らすことが、事故を防ぐことに直結するのではないかと思います。
安全な保育のために
保育士として働く人の99%は、園児が重大な事故に巻き込まれそうな現場に遭遇した事があると回答しています。
保育園に何の問題がなくとも、乳幼児の危険はどこにでも潜んでいるものであり、それを防ぐことは難しいことです。
日々そのような大変な仕事をこなしている保育士には感謝しかありません。
小さな命が事故で失われることのないよう、一人一人の園児たちと密に接することのできるための、保育士の環境改善が必要だと思います。
kbjdspjo著