縦割り保育の話し

保育所という小さな社会で学ぶ人間関係〜縦割り保育のいいところ〜

保育所のクラス

保育所は0歳児から小学校就学前までの幼児を預かり、保育する場所です。

この0歳から6歳までの幼児期というのは、単に年齢だけではなく、月齢によってもかなり違います。

同じ学年でも、4月生まれと3月生まれでは1歳近く違うわけですから、発達度合いが違うのは当たり前です。

そんな子供たちを預かる保育所は、一体どのようにクラスを分けているのでしょうか。

一般に保育所が園児のクラスを決める際には、男女比や子供の個性を考慮し、以下のように年齢や月齢によって区別されることが多いと思います。

①年少、年中、年長クラス

これは学校教育法における1学年の考え方に従い、4月1日時点での年齢を基準に分ける方法です。

つまり、4月1日時点で3歳の子供は年少、4歳の子供は年中、そして5歳の子供は年長と区別されます。

②乳児クラスと幼児クラス

児童福祉法によると、満1歳未満の子供のことを乳児期ど呼びますが、保育所においては普通、0〜2歳児を乳児クラス、3〜5歳児を幼児クラスと呼びます。

③未満児クラスと以上児クラス

これはあまり聞いたことがない人もいると思いますが、1〜2歳児を未満児、3〜6歳を以上児と呼ぶこともあります。

②と③は、呼び方こそ違えど、区別の仕方は同じです。

縦割り保育

一般的に保育所でのクラスは、年少、年中、年長といった、学年ごとにクラス分けされた横割り保育をしているパターンが多いように思います。

しかし保育所の中には、この学年ごとのクラス分けではなく、年齢の異なる子供たちを同じクラスで保育する、「縦割り保育」を行っている保育所もあります。

これは「異年齢保育」「混合保育」と呼ばれることもあります。

年齢の異なる子供たちが同じクラスで生活することにより、年上の子供は自分より小さな子供を助け、年下の子供はお兄さん、お姉さんをお手本にすることができます。

少子化により子供の数が減少し、一人っ子が増えてきている現代において、この「縦割り保育」はとても意義あるもののように感じます。

兄弟がたくさんいた時代は、家庭でも兄姉が弟妹の面倒を見て、弟妹は兄姉の真似をして、そして兄弟喧嘩をしながら成長していました。

しかし一人っ子ではそのような経験を家庭内で求めることもできません。

そんな子供たちが、保育所の縦割り保育を経験し、自分とは違う年齢の子と交わるというのは、優しさや思いやりの気持ちを育てたち、同学年の友人とは違う人間関係を経験する良い機会であると思われます。

クラス分け

私には子供が2人います。

どちらも0歳児から保育所に預けていました。

私の子供たちが通っていた保育所では、この縦割り保育が採用されていました。

0〜2歳までの乳児クラスは学年別の横割り保育ですが、3歳以上の幼児クラスは縦割りのクラス編成となります。

朝の会、給食、掃除などをみんなで一緒に行います。

3歳児さんは4・5歳児のお兄さん、お姉さんの行動を真似して成長し、年上の子供たちは自分より小さな子の面倒を見たりお世話をしたりしていました。

もちろん、年齢ごとにできることも違ってきます。

運動や読み書きなど、3歳児と5歳児が一緒にできるわけがありません。

そのような際には、同学年同士の横割り保育に切り替わります。

つまり縦割りと横割りのいいとこ取りだったわけです。

縦割り保育を経験して

私の娘と息子も、3歳になるとこの縦割りクラスで3年間を過ごしました。

娘は家でも弟の面倒をよく見るお姉ちゃんでしたが、縦割りクラスで入ったことで、3歳の頃にはお兄ちゃんお姉ちゃんに甘えることを知り、年長者となってからは、実の弟とは違う年下の子の交わりを経験しました。

息子はというと、家では小さい子の面倒を見るということがなかった末っ子でしたが、縦割り保育により年下の面倒を見るということを知りました。

そんな娘と息子も現在は高校生となっています。

娘は小学生の頃から下級生の面倒をよく見て、後輩たちから頼られる子に育ちました。

甘えん坊の息子はというと、姉の同級生たちから可愛がられ、さらに後輩の面倒も見られる子に育っています。

物心がつき始める頃から、同じ学年の友人だけではない社会で生活したことが、今の彼らの生活に大きく影響をしていると感じます。

保育所での縦割り保育を経験して思うことは、このように年齢を跨いで日常生活をするというのは、子供の協調性や思いやりを育むことにとても役に立ったと感じています。

人との関わりが薄く、一人っ子も多い現代において、幼少期に縦割り保育を経験することで、本来兄弟間で学んでいくことは、子供の成長にとってとても大事な経験になっていくと私は思います。

htutidc著