待機児童の話し

待機児童は減った?“隠れ待機児童”の存在と実態は……。

数年前に比べると、待機児童問題は徐々に解消されつつあります。

国や自治体の子育て支援による成果、そしてなによりも比較的保育所への入所がしやすい地方に引っ越すなど、保護者の様々な努力による結果が非常に大きいです。

統計でみれば待機児童の数は年々減少しています。

しかし、人口の多い都市部など保活激戦区と呼ばれる地域では未だ待機児童問題は深刻であり、早急な解決が必要な状態です。

そして、実際には待機児童にもかかわらず、国や自治体が定める基準によって待機児童としてカウントされない“隠れ待機児童”の存在も問題になっています。

 

待機児童としてカウントされないケースとして、

1入所希望の保育所がある。

2保護者が育児休業中。

3求職活動を休止している。

4自治体の補助を受ける認可外の保育施設に入っている。

等があります。

兄弟同じ保育所に通わせたい

1入所希望の保育所がある というのは、文字通り入所させたい保育所がすでにあるということ。

例えば、上の子が保育所に通っており、下の子も同じ保育所に通わせたい場合などはこれに当たります。

保育所とは元々、共働きなどで多忙な親たちに変わって保育を任される機関です。

お迎えに来る親たちは仕事帰りの人が多いので、自分の子どもを一つの保育所に入れたいと思うのは当然のことです。

しかし、この場合二人目は「入所待機の順番から外された状態」となるため、待機児童としてカウントされません。

 

ある家庭では、二つ年の離れた兄と同じ保育所に弟を入所させたいと思っていました。

兄の時も入所までにはかなり時間がかかりましたが、なんとか入所できたという状況でした。

兄弟で同じ保育所を希望する場合、入所選考で加点になるため入りやすくはなるでしょう。

しかし、入所するまでは他の待機児童と同じです。

都市部に住んでいたため同じような家庭も多く、結局母親のほうが一度育児休業の延長を申請する必要がありました。

復職できない負のループ

2,3のケースは、現在は国が定めた定義により待機児童としてカウントされますが、自治体によっては未だにカウントされないケースもあるそうです。

子どもの出産で今ある仕事を休業する時、その期間はだいたい一年ほどの場合が多いですが、その間に保育所に入所できるとは限りません。

入所できない時、親はやむを得ず育児休業を延長するしかありません。

仕事を辞めた場合でも、保育所に預けられるようになれば復職を希望する母親は多いです。

しかし、子どもを保育所に入れられないために、復職も困難になってきます。

5年ほど前ではこれも待機児童とカウントされず、負のスパイラルから抜け出せない家庭が大勢ありました。

これは当初、待機児童は短期間で解消できるものとして深刻に捉えられていなかったために作られた定義だったのでしょう。

現在は待機児童としてカウントされますが、当時これがカウントされていなかったのだとすると、統計よりもっと多くの待機児童が存在したことになります。

認可外保育所はカウントされない

4自治体の補助を受ける認可外の保育施設に入っている というのは、主に2,3のケースにて、自治体で補助を受ける認可外保育所などの施設や保育ママなどに預けた場合です。

認可外保育所など、認可保育所よりは預けられる時間は少ないけど入りやすい施設などは、大変重要な施設になります。

特に核家族化が進んだ現代において、働き盛りの子育て世代の多い都市部では必要不可欠な施設であり、多くの人が利用しています。

しかしこのような施設を利用する場合、上記の2,3の場合と違って、これは現在でも待機児童としてカウントされません。

 

ある家庭は、一向に保育所も決まらず近くに頼れる親戚もいませんでしたが、どうしても母親も復職しなければならない状況でした。

そんな時に、藁にもすがる思いで認可外保育所に預け復職することはできましたが、保育料が高額になってしまい、認可保育所に入れられるまで家計は火の車でした。

一人目の子どもの時にこのような体験をしてしまったことから、2人目の子どもを作ることは諦めてしまったそうです。

少子化に歯止めを

待機児童の数は減っているという統計はありますが、このような実態から、実際にはまだまだ多くの待機児童が存在しています。

待機児童問題の背景には、保育士や保育所の不足、都市部への人口集中など、あらゆる問題があります。

まずは“隠れ待機児童”のような把握しきれていない実態を明確に把握しなければ、待機児童問題そのものも解決されません。

子育て世代が安心して子どもを育てられる環境を早急に整備しなければ、この先の少子化にも拍車がかかってしまうでしょう。

 

kghgzdfh著