身勝手な親の話し

それは本当に放任主義?ほったらかし育児と親子コミュニケーションの大切さ。

子どもの教育

一人の子どもの教育には、数多くの大人が携わります。

幼稚園や保育園、学校や習い事など、外で学ぶ場所はたくさんあります。

しかし昨今、夫婦共働きの世帯が増え、どうしても自分の子どもに時間を割けず、家庭でやるべき教育をそのような施設で担うケースも多くなっています。

家庭での教育は本来は親がやるべきことであり、外部の機関では支援するという形で携わるものですが、すべて外に任せるのが当たり前という考えの親もいます。

子どもは親がいないと生きてはいけません。

親はしっかりと自分の子どもと向き合い、教育に責任を持つ必要があります。

放任主義?

ある保育園に通っている男の子が、他の女の子に物を投げつけて泣かせてしまうことがありました。

女の子は腕に少し怪我をしてしまったため、保育士は保護者に説明をしなければなりません。

幸い軽い怪我で済んだため、女の子の保護者は、今後このようなことが起きないよう注意してほしいということで了解を得てくれました。

 

しかし、問題は男の子側にありました。

男の子の保護者に事情を説明すると、その時は「すみません。」と謝罪はありました。

保育園からも、今後このようなことがないように、家庭でも教育するようお願いしました。

それにもかかわらず、男の子は保育士の見ていないところで度々同じ女の子に手を出してしまうようになり、状況が悪化していることを理由に女の子の保護者が男の子の保護者と揉めてしまいました。

「うちは放任主義だから。」

男の子の保護者から出た言葉はそのようなものでした。

 

放任主義とは、子どもの自主性に任せて自由に行動選択させる教育方針のこと。

その中で社会のルールを守るのは大原則で、ルールを破ったり他人に迷惑をかけたりした際は、ちゃんと大人がダメだということを教えなければなりません。

しかしこの男の子の場合、女の子が痛い目に遭っても親は何も注意していません。

悪いことだと分かっていない男の子は、ずっとヘラヘラ笑っています。

これは放任主義ではなく、ただのほったらかし育児です。

ほったらかし育児は、主に親が育児に関心がなかったり、親自身も昔ほったらかされて育ったためそれ以外の育児が分からないために起きてしまいます。

保育士はなんとしても自分の子どもに関心を持ってもらうため、保護者に指導しなければなりません。

指導とはいっても、あくまでその家庭の教育方針を尊重して支援する形であって、決してやり方を強制したり方針を否定してはいけません。

親子のコミュニケーション

男の子の両親はどちらも“放任主義”で育てられたそうで、何をしても親に怒られることはなかったそう。両親もまた保育園で同じように育てられたようです。

「ご飯とお風呂と寝る場所さえあれば、子どもは勝手に育つ。」

というのがこの両親の考え方でした。

両親はそれで問題なかったのかもしれません。

しかし、それは両親の親がやるべきことを外部の大人たちがすべてやっていたから。

本来、保育園とは保育を任される場所であって、教育機関ではありません。

教育機関として幼稚園もありますが、たとえ幼稚園でも親がやるべき教育というのは存在します。

社会のルールや人との関わり方もその一つです。

子どもにとって一番近い存在が親であり、人と接することを学ぶ一番大切な存在なのです。

 

男の子の保護者には、保育園での出来事を今まで以上にしっかりと伝えるようにしました。

男の子ができた良いことは目いっぱい褒めて、それを保護者に伝えました。

するといつも事務的だった保護者の対応が少しずつ、「よかったね。」「頑張ったね。」と男の子を褒める対応に変化していきました。

親とふれあう機会が増えると、子どもの心にも大きな影響があります。

いつもは親に手を引かれるまま無表情で帰る姿が印象的な男の子でしたが、親に褒められて嬉しいのか、前よりも笑顔が増えたようです。

もちろん、その日の悪かったこともちゃんと報告します。

この男の子は、他の子と遊ぶとき感情を抑えられない節がありました。

その結果、他の園児と喧嘩になることもあり、なぜそうなったのか自分でも分からないようでした。

このような時、男の子に楽しい、嬉しい、悲しい、寂しいなど、直接言葉でその時の気持ちを表現してもらいました。

感情コントロールが苦手な子は自分の感情が分かっていない子が多いです。

少しずつではありますが、口に出すことで気持ちが落ち着き自分の感情を上手くコントロールできるようになります。

人とふれあうことの大切さ

この男の子は、親との会話も少し増えたようで、前ほど周りに感情的になることはなくなりました。

この男の子が感情的になってしまうのは、親とのコミュニケーション不足が原因でした。

幼少期の親とのコミュニケーション不足は、今後の性格形成に多大な影響を与えます。

“放任主義”というのは、そのような基礎的なコミュニケーションが成り立ったうえで初めて機能するものです。

最近は外でも子どもに注意しない親や、スマホに夢中で子どもをほったらかしの親をよく見かけます。

自分の子どもの大切な時期だからこそ、もう少し子どもと対話する姿勢を見せるべきだと思います。

k64wedsk著